パリ地方音楽院 Conservatoire à rayonnement régional de Paris

基本情報

名前: 阿部翠
科・専攻: 大学院音楽研究科オルガン専攻
課程: 修士
留学中の本学での身分:休学
藝大の指導教員: 徳岡めぐみ先生
留学先: パリ地方音楽院
留学国: フランス
留学期間: 2020年1月10日~2020年 9月30日
留学先の指導教員: Christophe Mantoux先生

留学までの経緯

[ 留学を志したきっかけ ]
オルガン科では、修士課程在学中にヨーロッパへ留学するというのが通例となっています。もちろん強制ではありませんが、ヨーロッパの教会で生まれ、場所ごとにすべて違う楽器で演奏と楽器の特性とが切り離せない関係であるというオルガンの特性上、ヨーロッパで学ぶのは当然のことだと思います。

[ 留学先大学の探し方 ]
留学する前年に、目ぼしい先生の夏の講習会に参加し、そこでその先生につくことを決めました。また、先輩がその先生についていて、色々相談に乗ってもらえたというのも、理由の一つです。

[ 留学先大学を選んだ理由 ]
師事したい先生がいたということと、パリというヨーロッパの文化の中心地で暮らしたいという長年の夢があったので。

[ 語学学習法 ]
高校、大学でフランス語を習いました。

[ 語学試験受験/試験名 ]
フランス語検定2級

[ 使用した教材 ]
『フランス語パザパ』角山元保 著/ J. -P.アブリアル 著、三修社 など

留学の準備

[ 出願手続きや入試内容 ]
先生に事前にメールで師事したい旨を伝えたあと、音楽院のサイトで受験の登録をしました。

[ 出願・入試の対策 ]
オルガンの実技試験だけだったので、試験の課題曲を音楽院で確認して、それを練習しました。

[ ビザの種類 ]
テスト生ビザ(フランスで音楽院を受験するためのビザ)

[ 申請書類 ]
【Campus France申請のために】フランスの教育機関が発行した受験票( Convocation )、履歴書(英文か仏文)、パスポートの個人情報の部分と渡仏履歴が分かるページ、証明写真、大学の英文卒業証明書、大学の英文成績証明書
【フランス大使館での申請のために】短期ビザ申請書、証明写真1枚(35㎜×45㎜)、パスポート原本、パスポートコピー、フランスの音楽院の入学テストの登録証明書の原本・コピー、経済証明(1か月あたり最低615€)銀行の残高証明などの原本・コピー、フランスでの住居証明書(賃貸契約書など)原本・コピー、海外医療障害保険の原本・コピー

[ ビザの申請書類の提出先 ]
在日フランス大使館

[ 申請費用 ]
60ユーロ

[ 面接 ]
あり

[ 手続きに要した日数 ]
2日

[ 申請時の注意点 ]
まずCampus Franceでの手続き(面接など)の後、フランス大使館で手続きとなり、それぞれ予約を取らなければなりません。その予約も、すぐに希望の日が取れるわけではありません。また、手続きが済んだ後、ビザ発行までにも日数がかかるので、早めの申請をお勧めします。

[ 奨学金申請の有無 ]
あり

[ 奨学金名称 ]
東京藝術大学海外留学支援奨学金

[ 奨学金の種類 ]
給付

[ 支給内容 ]
総額 400, 000円

[ 申請時のコツ・対策 ]
コツはわかりませんが、自己PR動画は、動画撮影編集に詳しい友人に頼み、かなり力を入れて撮影しました。

[ 加入した保険名 ]
ジェイアイ傷害火災保険(1年目のみ加入、その後はフランスの健康保険に加入)

[ 加入したプラン ]
たびほ

[ 加入した海外保険の費用 ]
143,210円

[ 留学前の予防接種/種類 ]
なし

留学中

[ 現地での出迎え ]
なし

[ 到着後のオリエンテーションの有無・内容 ]
なし

[ 大学の雰囲気 ]
大学ではなく音楽院で、小学生くらいの子供も通っています(学校のカリキュラムの中で、音楽院での授業やレッスンを受講できる仕組みのようです)。なので、子供の多い時間帯によっては音楽教室のような雰囲気でした。
私のいた演奏家課程は基本的にはレッスンを受けるのみの過程でしたので、レッスン、練習以外で音楽院にいることはありませんでした。練習室も多くはないので、外の教会に行って練習していました。

[ 留学先の支援体制 ]
上記の通り、大学ではありませんので、生活をサポートしてくれるというようなことはありません。

[ 留学先の街について(治安・気候・利便性・交通機関など) ]
パリはスリも多いですし、デモやストライキもしょっちゅうですし、テロなどもたまに起きますので、日本に比べれは治安は格段に悪いと思います。私の住んでいる地域は治安がよく、幸い命の危険を感じるようなことは一度もありませんでした。
冬は、暗くてとても寒く長いので厳しいものですが、夏はとても快適で、家には冷房もありませんが問題なく過ごせます。パリ市内はとくに地下鉄網が発達していますし、本数も多いので交通の便はいいです。しかし、たびたび鉄道会社がストライキを起こすので、その時には交通が乱れる、またはストップしてしまうので大変苦労します。私の留学中も、2か月にわたる長いストライキがあり、場所によってはタクシー移動しか手段がないこともありました。

[ 留学中に得たこと ]
オルガンの技術の習得はもちろん、フランスの気候、人々の生活、生き方、考え方を肌で感じられたことは大事な体験でした。

[ 現地での語学研修歴 ]
あり

[ 機関の種類/研修機関名 ]
Bereau des cours municipaux d’adultes (パリ市が主催する成人向けのフランス語講座)

[ 受講期間 ]
2019/1/1 〜 2019/6/30

[ 大学までの距離 ]
市内

[ 語学研修費用 ]
70ユーロ

[ 特徴(他の受講生・授業内容など) ]
パリ市は、成人向けに色々な講座を行っています(パソコン講座、各種語学、料理等)。
その中に外国人向けのフランス語講座があります。種類もたくさんあり、週4回から週一回、DELFDALF受験対策向けや、文法、会話それぞれに特化したクラスなど、自分にあったクラスを見つけることが出来ます。
値段も週2回のクラスで140ユーロと他の語学学校に比べ比較にならないくらい安価(学生はさらに半額)で、しかもクオリティは高いです。私はB1のレベルのクラスを受講していましたが、周りは大使館などで働いている人も多かったです。アジア人は少なかったですが、本当に様々な人種の人が受講していました。大変人気の講座で、申し込み後、抽選で受講できるかが決まります。申し込みもパリ市のサイトからフランス語でしないといけないので、フランス語の初歩段階だと厳しいと思います。パリ市在住かもしくはパリ市の学校に通っている場合に申し込みができます。

[ 同じ留学先の希望者へのおススメ ]
できる。安価で良い授業が受けられるため。

留学先の授業

[ 履修方法 ]
初回の授業に出て、登録。本来カリキュラム上は取れないものでも、先生に言えば快く受け入れてくれます。

[ 受講して満足した授業 ]
オルガン実技、エクリチュール、通奏低音、即興演奏。

[ 具体的な授業内容 ]

 

履修科目名/担当教員 受講期間 単位数 授業時間数(週) 試験・成績評価方法
Orgue/Christophe Mantoux 2018年10月1日~2020年8月30日 1回60~90分/週1回 実技 実技試験
Basso Continuo/Jean-Christophe Revel 2020年1月1日〜2020年1月1日 1回0分 実技 出席
Improvisation/Christophe Mantoux 3月1日~4月30日
(6週間)
1回0分 実技 出席

住居

[ 住居の種類 ]
民間アパート

[ 部屋の種類 ]
ワンルーム

[ 住居名 ]
19 rue de Marius Jacotot, PUTEAUX

[ ルームメイト ]
なし

[ バスルーム・キッチン ]
個別

[ 食事 ]
自炊

[ 住居を探した方法 ]
友人・知人の紹介

[ 留学希望者に推薦できますか ]
できる。
大家さん、不動産屋さんが親切。治安が良い。

[ 住居に関するアドバイス ]
治安のよいところを探す。パリの北東部や空港付近、郊外は治安が悪いと聞いています。私の住むDéfense地区は郊外ではありますが、とても治安が良かったです。
また、フランスではAllocationという学生のための家賃補助があります。ネット申請すれば受理され、毎月口座にお金が振り込まれます。私は毎月180ユーロの補助をもらっていました。
また大家さんとのトラブルもよく耳にするので、可能であれば不動産やを通すことをお勧めします。パリのLodgisという不動産屋は、日本人のスタッフがいらっしゃって安心です。

医療

[ 留学中の通院経験 ]
あり

[ かかった医療費・困ったことなど ]
虫歯治療(180ユーロ)、眼科(コンタクトとメガネの処方箋のため80ユーロ)。これらはすべて健康保険でお金が戻ってきました。

[ 健康面に関するアドバイス ]
フランスの健康保険Sécurité Socialeに加え、任意保険に入っていたので、歯医者や眼科(コンタクト代も!)すべて保険で賄われたので大変助かりました。社会保障はとても充実していると思います。また、いざ体調が悪くなったときは、やはり日本語で相談できると安心なので、できるだけ早めに日本人の知り合い、なおかつフランス語に堪能な人を見つけるとよいと思います。パリには日本語が通じるお医者さんがたくさんいらっしゃるので、日本大使館のホームページでチェックしてみてください。

生活面

[ 留学先での銀行口座開設の有無/開設した銀行 ]
あり/LCL (クレディ・リヨネ銀行)

[ 開設銀行を選んだ理由/口座を開設しなかった理由 ]
パリに、日本人行員がいて日本語が通じる支店(ピラミッド支店)があるため。フランスの滞在許可証を得るためには銀行口座開設は必須です。

[ 主に使用した支払い方法 ]
クレジットカード。現金、小切手も使用。

[ 生活に関するアドバイス ]
スリが多く、警察も対策をしていないので、自己責任で十分な注意が必要です。

留学経費

渡航費(東京-パリ往復) 200,000
入学金 0
授業料 1,500×2年 ユーロ
教材費(楽譜代) 200 ユーロ
住居費(学生の家賃補助Cafを含めて) 800×24ヶ月 ユーロ
食費 200×24ヶ月 ユーロ
保険料(海外保険料)*フランス国民保険は無料 143,210
ビザ申請料 60+60(現地滞在許可証) ユーロ
その他(交通費) 72 ユーロ/月
その他(研究費/その他渡航日含む費)
その他(事前に購入した機材費)
総額 5,170,000

留学を終えて

[ 卒業・修了後の進路予定 ]
就職

[ 卒業・修了見込年月 ]
2021年3月 修了見込

[ 就職活動場所/希望する就職先 ]
日本/教育機関

その他

[ 留学中行って良かった美術館・コンサート等 ]
オルガンコンサートは様々な教会で無料で行われていて、たくさん行きました。日曜日の教会でのミサでは、有名なオルガニストの奏楽を生で聴けて毎週楽しかったです。
Radio France、Philhamonie de Parisなどのホールの演奏会も、日本より割安で見られます。

[ 留学準備・留学中に役立った書籍・ウェブサイトなど ]
France Orgueというサイトは、パリ近郊で行われるすべてのオルガンコンサート情報が載っています。
生活面では、まずはビザや滞在許可証の取得で様々な情報が必要になります。必要書類、申請方法などはどんどん変わっていくので、なるべく新しい情報を知り合いに聞いたり、SNS(Twitterや個人のブログ)などで検索しました。もりろんSNSで私に連絡くださっても大丈夫です。
また、フランス到着後は、在仏フランス大使館に在留届を出すと、フランスで起きている情報(ストライキ、テロなど)をすぐにメールで送ってくれます。

[ 留学に役に立った藝大の授業 ]
実技の授業はもちろんですが、フランス語の授業も役立ちました。