University of Hamburg(ハンブルク大学)

基本情報

名前: 佐竹 那月
学部・科or 研究科・専攻: 音楽研究科・音楽専攻(音楽学研究領域)
課程: 博士2年
留学中の本学での身分: 在学
藝大の指導教員: 大角欣矢教授
留学先:University of Hamburg(ハンブルク大学)
留学国: ドイツ
留学期間: 2023年7月21日~2025年3月25日
留学先の指導教員:Prof. Dr. Ivana Rentsch

留学までの経緯

[ 留学を志したきっかけ ]
博士論文執筆のための資料収集

[ 留学先大学の探し方 ]
普段の研究で参照している文献の著者から、ドイツの大学で教鞭をとられている教授陣をピックアップし、教授のいらっしゃる大学や、研究資料へのアクセスのしやすさといった点から、総合的に見て、ハンブルクに留学するのが良いと判断した。大学のWebサイトに記載された教授のメールアドレス宛てに直接ご連絡をし、研究滞在の承諾をいただいた。

[ 留学先大学を選んだ理由 ]
Ivana Rentsch教授の本来のご専門は18世紀器楽ではないものの、近年出版された論文集で、私の研究と近いテーマで論文を書かれており、幅広い視点からのアドバイスをいただけるのではないかと思った。さらに、ハンブルクは、私の主な研究対象であるC. P. E. バッハが後半生を過ごした地でもあり、ハンブルク州立大学図書館にも関連資料が揃っているため、研究の拠点として相応しいと考えた。

[ 語学学習法 ]
ドイツ語学習歴自体は長く、基礎文法は頭に入っていたため、ドイツ語学校に通いながら、特に聞き取り・会話・作文のスキルを磨いた。家では、授業の予習・復習をして新出単語をノートにまとめ、ノートを繰り返し見ることで語彙を増やした。

[ 語学試験受験/試験名・レベル ]
Goethe-Zertifikat/B2

[ 使用した教材 ]
Schritte international Neu A1.1~B1.2, Aspekte neu B2, Grammatik aktiv B2-C1

留学の準備

[ 出願手続き・入試内容 ]
冬学期(10月から)の入学の場合、6月以降に大学のポータルサイト STiNEでオンライン申請を行い、申請内容の概要(PDFファイル)とドイツ語の語学力証明書を、ハンブルク到着後には到着したことを証明する書類(航空券)を、学部の事務宛てにメールで送付。9月頃に仮の学生証を受け取り次第、銀行口座開設、保険の申し込み、授業料の振込。

[ 出願・入試の対策 ]
“なし。Free Moverに必須とされるドイツ語能力はB1以上(現在はB2以上)。
https://www.uni-hamburg.de/campuscenter/bewerbung/international/freemover.html”

[ ビザの種類 ]
Aufenthaltserlaubnis (Studium)

[ ビザの申請書類の提出先 ]
Hamburg Welcome Center

[ 申請に必要な書類 ]
大学の入学証明書、住民票、資金(2023年10月当時:月額934ユーロまたは1年間11,208ユーロ)の証明、健康保険の証明、パスポート、証明写真

[ 申請費用 ]
25,000円

[ 面接 ]
あり

[ 手続きに要した日数 ]
62日

[ 申請時の注意点 ]
ハンブルクのビザ担当者の対応は基本的に遅めだが、粘り強く催促すれば上手くいくこともある。特に、ウェルカム・センターの担当者が親切だと評判だった。資金の証明は、閉鎖口座が無難。

[ 奨学金申請の有無 ]
あり

[ 奨学金名称 ]
日本学術振興会 若手研究者海外挑戦プログラム

[ 奨学金の種類 ]
給付

[ 支給内容 ]
総額/180万円

[ 申請時のコツ・対策 ]
奨学金の使い道、留学中の研究計画を明確に示し、奨学金が自身の研究にどのようなメリットをもたらすかを説得力をもって説明すること。

[ 加入した保険の種類 ]
留学先大学指定保険

[ 加入保険名 ]
Techniker Krankenkasse(TK)

[ 加入したプラン ]
学生健康保険

[ 加入した海外保険の費用 ]
月額120~145ユーロ(最後の数か月で値上げした)

[ 留学前の予防接種/種類 ]
なし

留学中

[ 現地での出迎え ]
なし

[ 到着後のオリエンテーションの有無/内容 ]
あり/新入生向けの交流会

[ 大学の雰囲気 ]
全体としては自由で国際的で、活気がある。お世話になった音楽学の先生方、学生たちは皆とても親切で、指導教員が誰かということに関わらず、主に面談時間(Sprechstunde 週1時間)の間に研究室に伺うなどして、複数の先生方に自由に研究の相談をすることができた。

[ 留学先の支援体制 ]
留学生向けの語学講座が開講されている。

[ 留学先の街について(治安・気候・利便性・交通機関など) ]
治安が良い。曇り・雨が多い。電車、地下鉄、バスはそこまで不便ではないが、常にどこかで工事をしている。トラムはない。

[ 留学中に得たこと ]
ハンブルク大学の先生方の知識・興味関心の幅広さ、懐の深さに感銘を受け、私も将来教鞭をとることがあればこのような先生でありたいと思った。多様な文化・考え方に触れ、博士論文の研究だけでなく自分自身のことも見直す機会になったと思う。

[ 現地での語学研修歴 ]
あり

[ 機関の種類/研修機関名 ]
民間の語学学校

[ 受講期間 ]
2023/7/24~2023/9/29

[ 大学までの距離 ]
市内

[ 特徴(他の受講生・授業内容など) ]
“ドイツでの入学・就職の準備、夏季休暇中の語学留学など、様々な目的で世界中から受講生が集まっていた。
授業は、指定のテキスト・配布プリントに基づいて進められる。修了テストでは、Telcの練習問題を使用する。Telcの受験会場にもなっている学校のため、特にTelc対策に強いと思われる。”

[ 同じ留学先の希望者へのおススメ・理由 ]
できる・立地がとても良く、受講中は寮またはアパートに滞在することもできる。遠足などの交流イベントも企画されているため、友達作りの機会にもなる。

留学先の授業

[ 履修方法 ]
大学のポータルサイト STiNEにログインし、受講したい授業を登録する。

[ 受講して満足した授業 ]
Kolloquium für MA-Studierende und Doktorand*innen

[ 具体的な授業内容 ]

 

履修科目名/担当教員 受講期間 単位数 授業時間数(週) 試験・成績評価方法
Kolloquium für MA-Studierende und Doktorand*innen
/Univ.-Prof. Dr. Oliver Huck, Univ.-Prof. Dr. Matteo Nanni, Univ.-Prof. Dr. Ivana Rentsch
2023/10/16~2024/1/31, 2024/4/8~2024/7/17, 2024/10/16~2025/1/29(42週間) 3単位 1回90分

週1回

その他 教授、講師、博士・修士課程の学生が現在行っている研究についてそれぞれ発表し、皆で議論する。私も2度発表させていただいた。
Mehrstimmige Sätze des Ordinarium missae bis zum Konzil von Konstanz
/Univ.-Prof. Dr. Oliver Huck
2023/10/14~2024/1/29(14週間) 2単位 1回90分

週1回

レポート 演習形式。コンスタンツ公会議の前までに作曲されたミサ通常文の楽曲分析(聴講)
Musik in Videospielen
/Dr. Manuel Becker
2024/4/9~2024/7/18(14週間) 2単位 1回90分

週1回

レポート 演習形式。様々なビデオゲームを例にとりながら、ビデオゲームを音楽学の研究対象として捉える際の疑問(ビデオゲームにおける音楽の役割など)について考える(聴講)

住居

[ 住居の種類 ]
民間アパート

[ 部屋の種類 ]
一人部屋

[ ルームメイト ]
なし

[ キッチン ・バスルーム]
個別

[ 食事 ]
自炊

[ 住居を探した方法 ]
友人・知人の紹介

[ 留学希望者に推薦できますか ]
できる

[ 留学希望者に推薦できる理由 ]
グランドピアノを置ける貴重な環境だったうえ、とても治安が良く自然豊かな地域だった。大家さんもとても親切だった。

[ 大学の休暇時期 ]
2月~3月、ペンテコステ、8月~10月上旬、クリスマス

[ 休暇時期の一時退去 ]
なし

[ 住居に関するアドバイス ]
ハンブルクで住居を探すのは大変で、家賃も高い。留学経験のある/留学中の知り合いやインターネットからの情報収集が重要。

医療

[ 留学中の通院経験 ]
あり

[ かかった医療費など ]
健康保険適用内

[ 困ったこと・健康面に関するアドバイス ]
歯の治療は通常高くつくので、気になるところ・治療中のところはできるだけ留学前に治しておいた方が良い。

生活面

[ 留学先での銀行口座開設の有無/開設した銀行 ]
あり/Hamburger Sparkasse(Haspa)

[ 開設銀行を選んだ理由/口座を開設しなかった理由 ]
支店が多く、ATMへのアクセスが良いから。

[ 主に使用した支払い方法 ]
デビットカード

[ 生活に関するアドバイス ]
日本から持って行った百均のダブルクリップが思いのほか万能だった。今は円安なので、留学先でしかできない体験にお金をかけるためにも、留学先で食べる・使うものはできるだけ日本から持って行った方が良い。

留学経費

渡航費 380,000
入学金 0
授業料 170,000
教材費 20,000
住居費 2,640,000
食費 200,000
保険料 500,000
ビザ申請料 25,000
総額 3,935,000
【現地通貨レート】 161.746円/€ (2025年3月25日 時点)

留学を終えて

[ 卒業・修了後の進路予定 ]
就職

[ 卒業・修了見込年月 ]
2027年3月

[ 就職活動場所/希望する就職先 ]
日本/教育機関

[ 今後、藝大に望むこと ]
交換留学の協定校に、音楽学を専攻できる一般大学という選択肢があっても面白いかなと思った。

[ 留学中行って良かった美術館・コンサート等 ]
クンストハレ(ハンブルク)、ハンブルクの聖ヤコビ教会で毎週木曜に開催されるオルガン・コンサート(入場無料)、バイエルン州立歌劇場の公演

[ 留学準備・留学中に役立った書籍・ウェブサイトなど ]
https://welcome.hamburg.de/

[ 留学に役に立った藝大の授業・理由 ]
音楽学演習・音楽学特殊研究(大学院ゼミ) 文献を精読・批判する力、思考力が養われる。