基本情報
名前: 副島 しのぶ
科・専攻: 映像研究科アニメーション専攻
課程: 修士
留学中の本学での身分:休学
藝大の指導教員: 伊藤有壱 先生
留学先: Royal College of Art (RCA)
留学国: イギリス、オーストリア
留学期間: 2019年9月4日~2020年 3月15日
留学先の指導教員: Suzanne Buchan
留学までの経緯
[ 留学を志したきっかけ ]
これまで、人形を使ったストップモーションアニメーションの短編映画、映像作品を制作してきた。世界的に見ても、人形アニメーションの作家は、平面や3Dなどといった他のアニメーション分野に比べて圧倒的に製作者が少ない中、イギリスではアードマンズアニメーションスタジオを始め、世界屈指の製作スタジオや作家が多数活躍しているため、より多くの作品に触れ、技術的な向上を図るために留学を決めた。また、留学先のRCAは、人形アニメーションを作る上で影響を受けたアカデミー賞受賞作家、Suzie Templetonの出身校であり、彼女の技術を調査することが今回の留学の一番の目的だった。
[ 留学先大学の探し方 ]
国際的に活躍する若手の作家、特に立体アニメーションの作家を多く輩出している大学を調べた。特に、RCAはSuzie Templetonの出身校として以前から注目しており、他に候補にしていた大学と違い、個人のアニメーション作家/監督を育てるシステム(他の大学では複数人で制作するスタジオ制度もある)が、私の制作スタイルにより適していた。また、イギリスは以前にも留学していたこともあり、土地勘や言語的にも慣れた場所の方がより環境に適応しやすく、短期の留学でも成果を出せると思った。RCAの受け入れ許可が降りなかった万が一の事を考え、学科の教授陣にも相談し、その他の候補大学も念のために2-3校ほど候補を選んでいた。
[ 留学先大学を選んだ理由 ]
アニメーションが学べる大学は日本を含め世界的にも数多くあるが、立体アニメーションとなると数が限られる。RCAはその中でも立体アニメーションを製作する個人作家を多く輩出していることで有名で、特に、Suzie Templetonの卒業制作である”Dog”に影響を受けていたので、具体的に学びたいアニメーション技術を習得できる可能性が一番高い大学がこのRCAだった。他、RCAはアニメーション以外にも、現代美術やあらゆる美術学科があるため、アニメーション以外の分野にも積極的に触れていくにも望ましい環境だった。
[ 語学試験受験/試験名 ]
IB (国際バカロレア) ディプロマ資格、IELTS
留学の準備
[ 出願手続きや入試内容 ]
PEP (Post Experimental Program) – 立場としては博士枠に入るので、ポートフォリオや映像作品本編の提出以外にも、滞在中に進める研究タイトル、内容、スケジュールプラン、その他、志望動機などをまとめて、どのように在学期間中に研究を進めるか具体的な内容が分かる資料を提出する必要があった。
[ 出願・入試の対策 ]
なぜ留学先が、他ではなくRCAでなければいけないのか、その必然性をできるだけ明確に志望動機として書いた。
[ ビザの種類 ]
Short Term Study VISA (6month)
[ 申請書類 ]
大学の受け入れ許可証
[ ビザの申請書類の提出先 ]
入国審査時に直接渡す (事前に日本でも取得できるが、入国時審査の時に得る場合は無料でできる)
[ 申請費用 ]
0 円
[ 面接 ]
なし
[ 手続きに要した日数 ]
0日
[ 申請時の注意点 ]
Short Study VISAには(6month)と記載されているが、大学在籍期間が最長6ヶ月間まで可能と言う意味で、もしも在籍期間が6ヶ月以下の場合、在籍期間が終了したその日から1ヶ月後までしか滞在できず、その後は出国しなければいけない。尚、Short Term Study Visaで入国した場合、原則滞在期間中にイギリス国外に出国することはできないと書かれていることがあるが、実際は再び入国する際に新たにVISAを取得し直せば可能である。
[ 奨学金申請の有無 ]
あり
[ 奨学金名称 ]
トビタテ!留学JAPAN、BCJA-ブリティッシュカウンセル、KUMA財団 3期生、藝大留学奨学金 2019年度第1期
[ 奨学金の種類 ]
給付
[ 支給内容 ]
総額 3,020,000円
[ 申請時のコツ・対策 ]
美術以外にも、様々な分野から応募者がいる財団の場合(トビタテなど)、応募者数に対して募集枠が少なく倍率が高くなる事が多いが、美大生の強みは、これまでの製作してきた作品があることなので、作品の記録写真や実際の作品を面接やプレゼンの際に上手く活用すると実行力をアピールできて良いと思う。他には、自分の留学テーマ(或いは、自分の制作活動のテーマ)を一言でわかりやすく完結にまとめられると、美術を専門にしていない審査員にも留学の目的や必然性が理解され、共感してもらいやすくなる。
[ 加入した海外保険の種類 ]
日本の海外保険
[ 加入した保険名 ]
学研災付帯海学
[ 加入したプラン ]
海外留学保険
[ 加入した海外保険の費用 ]
−
[ 留学前の予防接種/種類 ]
なし
種類: –
留学中
[ 現地での出迎え ]
なし
[ 出迎え費用 ]
−
[ 到着後のオリエンテーションの有無・内容 ]
なし
内容:−
[ 大学の雰囲気 ]
RCAは全部で三つの校舎があり、そのすべてがロンドン中心部にあったので、大学で制作する合間に美術館に寄ったりなど、学外でのインプットを行う時間を多く取れたのが良かった。他、アニメーション専攻のあるWhite City のSchool of Communicationキャンパスでは、同じ教室を様々な学科の学生が共有して机を並べていたので、学科を超えて交流することができる空間づくりが良かった。
[ 留学先の支援体制 ]
私の留学身分である「Post Experimenal Programme」は研究生/博士のような特殊な立場であったために、同じ身分で入学する学生が他にいなく、大学からはこちらから連絡を取らない限りほとんど情報が送られてこなかったので、入学当初は非常に苦労した。大学から積極的な支援は受けることは無かったが、しかし、自分から能動的に他の教授にコンタクトを取り、この留学期間中に進めたい研究内容を相談すると、学外の作家や技術者に繋げてくださり、結果的に大学にこだわらず、学外でコミュニティーを広げることができた。RCAでは大学からの支援は多くを望めないが、教授や作家など個人的に関係性を作っていくことによって手厚いサポートを受けることができた。
[ 留学先の街について(治安・気候・利便性・交通機関など) ]
大都市なので、地下鉄やバスが街中に通っており、美術館も多く、利便性が高かった。気候は、極端な寒暖差がなかったが、日照時間が短い。物価と学費が非常に高いのを除けば、非常に過ごしやすい地だった。
[ 留学中に得たこと ]
留学目的であったSuzie Templetonのアニメーション技術習得と技法調査を行うことが叶った。Suzie Templeton本人には生憎直接対面することはできなかったが、彼女の学生時代に指導していた退任済みの教授や講師にインタビューすることが叶い、制作相談や技術相談をしながら調査を進めることができたのが非常に大きかった。また、滞在期間中、クエイ兄弟や、シュペラ・カデッツなど多くの作家たちのスタジオ訪問することが叶い、実際の制作現場を拝見し、個々の作家から直接話を伺うことができたのは、今後の自分の活動と作風を深める大きな手がかりとなった。
[ 住居の種類 ]
その他
[ 部屋の種類 ]
一人部屋
[ 住居名 ]
−
[ ルームメイト ]
同性のみ
[ バスルーム・キッチン ]
共同
[ 食事 ]
自炊
[ 住居を探した方法 ]
オンライン
[ 留学希望者に推薦できますか ]
できる
[ 大学の休暇時期 ]
−
[ 住居の一時退室 ]
−
[ 留学中の通院経験 ]
あり
[ かかった医療費・困ったことなど ]
0 円
[ 健康面に関するアドバイス ]
ロンドンには日系の医療機関が幾つかある。利用者は日本人に限られるので、現地の病院よりも待ち時間が短く、現地と日本の気候と比べながら、日本人がイギリスで罹りやすい病気、対策方法の説明もしてもらえる。
[ 留学先での銀行口座開設の有無/開設した銀行 ]
なし
[ 開設銀行を選んだ理由/口座を開設しなかった理由 ]
今回、留学期間が一年未満だったので、開設しなかった。(以前長期滞在していた時は香港銀行だった)。ソニー銀行は、外資預金もできるので、ユーロやその他の外貨が使われる国に行く際も特に困ることなく生活できた。
[ 主に使用した支払い方法 ]
デビットカード
[ 留学経費 ]
渡航費 | 150,000 | 円 |
入学金 | 0 | 円 |
授業料 | 1,800,000 | 円 |
教材費 | 100,000 | 円 |
住居費 | 399,000 | 円 |
食費 | 210,000 | 円 |
保険料 | 100,000 | 円 |
ビザ申請料 | 0 | 円 |
その他(制作費) | 100,000 | 円 |
その他(研究費/その他渡航日含む費) | 200,000 | 円 |
その他(事前に購入した機材費) | 150,000 | 円 |
総額 | 3,209,000 | 円 |
留学を終えて
[ 卒業・修了後の進路予定 ]
その他
[ 卒業・修了見込年月 ]
2021年3月 修了見込
その他
[ 留学中行って良かった美術館・コンサート等 ]
Tate Modernのオラファー・エリアソン、Antony Gormley 展、Anna Maria Maiolino 展、London International Animation Festival、London Frieze、ベネチアビエンナーレ、Kaboom Film Festival
[ 留学準備・留学中に役立った書籍・ウェブサイトなど ]
ロンドン MixB (主に住居)
[ 留学に役に立った藝大の授業 ]
トビタテ!留学JAPANの面接の事前対策
理由:申請に向けての対策を藝大でやって頂いた際に、他の留学する学生と知り合いになれたので、留学中も情報交換などができてよかった
——————————————————–
※学外へは一部を抜粋して公開しています。
※国際企画課窓口にて同じ内容の報告書を閲覧することができます。