Sprachzentrum Universität Wien & Zürcher Hochschule der Künste

基本情報

科・専攻: 美術研究科 先端芸術表現専攻
課程: 修士2年
留学中の本学での身分:休学
藝大の指導教員: 古川聖先生
留学先: ウィーン大学語学センター、チューリヒ芸術大学
留学国: オーストリア、スイス
留学期間: 2022年9月6日~2023年8月31日
留学留学先での専攻・在籍課程: 修士1年

留学までの経緯

[ 留学を志したきっかけ ]
幼少期より留学に行くことが夢でした。またお世話になった先生方や尊敬するアーティストが全員海外生活を経ていたので、私もそういった人になりたいと思い学部3年生あたりから現実的に留学を視野に入れるようになりました。

[ 留学先大学の探し方 ]
留学生が多いかどうか、留学生の待遇が良いか、寮に入れるか、物価や家賃はどうか(大都市にある有名校だと家賃が高額だったり、物件の取り合いが激しい傾向があります。留学の楽しい側面だけでなく現実的なことも考え、教育内容と生活のバランスを見ながら選びました。)

[ 留学先大学を選んだ理由 ]
前半をウィーンでの語学学校、後半を大学の交換留学で過ごした。チューリヒ芸術大学は候補の中で最も国際色豊かで、恵まれた学習環境やカリキュラムが魅力的でした。コースも多岐にわたる。ウィーン・チューリヒ共に留学生が多いため情報も手に入りやすかったです。またコロナ禍に加え、ウクライナ侵攻で留学先を変更せざるを得なくなったことがあったためなるべく治安が安定している、リスクの少なそうな地域を選びました。

[ 語学学習法 ]
英語はオンライン英会話を毎日やりながら、藝大の英語の授業(なるべく少人数で、話したり書く系。ネイティブの先生と日本人の先生を両方とり理解に努めました。)をとれるだけ受講しました。またコロナと戦争の影響で留学先を変更したため、突然ドイツ語が必要になりました。春休みの1ヶ月でゲーテの語学学校に通い入門レベルを学びました。それから渡航までの半年で藝大のドイツ語をとれるだけ受講しました。恐れず色んな授業に顔を出してみてチャレンジするのが大事かなと思います。家ではNetflixやYouTubeで英語やドイツ語のコンテンツを見ました。留学系のYouTubeも見て、参考にしていました。

[ 語学試験受験/試験名・レベル ]
あり(TOEIC、IELTS)/B2(出願要件はB2だったが、結局提出が求められませんでした。)

[ 使用した教材 ]
オンライン英会話、藝大の授業、YouTube

留学の準備

[ 出願手続きや入試内容 ]
履歴書、志望理由、ポートフォリオ

[ 出願・入試の対策 ]
初めての相手にも自分のことが伝わるように丁寧に制作する。英語の先生や指導教官に英語をチェックしていただきました。

[ ビザの種類 ]
滞在許可

[ ビザの申請書類の提出先 ]
チューリヒの移民局

[ 申請に必要な書類 ]
申請書、残高証明、パスポート、入学証明書、賃貸契約書

[ 申請費用 ]
3万円

[ 面接 ]
ない

[ 手続きに要した日数 ]
約45日

[ 申請時の注意点 ]
スイス留学する際に日本国籍の人はビザは必要なく、代わりに滞在許可(事実上のビザ)を取る必要があります。大使館ではなく現地の移民局に直接申請します。ちなみに在日スイス大使館・現地の日本大使館は申請に関与していないため質問があれば移民局に直接聞かなくてはいけません。英語で質問してもドイツ語で返ってくるので翻訳したりドイツ語の先生に聞くなどして乗り越えましょう!スイス入国後でないと申請できないため、渡航する前に移民局に連絡して入国許可証を取得しておくと空港カウンターで止められるリスクが減ります(コロナの影響か航空会社と大使館で異なる渡航条件を提示されるケースが多々ありました)。こちらも書類をメールで送って発行してもらいます。私はラッキーだったのか10日くらいで発行してもらえました。少なくとも1ヶ月前には連絡するのがいいと思います。滞在許可は申請に二段階あり、まず到着したら2週間以内に市役所で必要書類を提出して市民登録をします。その後指定された日時に移民局に行き、写真撮影や指紋登録をして約2週間後に市民カードが家に届く仕組みになっています。(私の場合は1週間で届きました。何か急ぎの場合は早めに送って!!と移民局でお願いしてみるのも手です) 第二段階の日時が結構先なので、そこは注意。私は市役所での登録から1ヶ月以上後だった気がします。

[ 奨学金申請の有無 ]
あり

[ 奨学金名称 ]
トビタテ留学JAPAN

[ 奨学金の種類 ]
給付

[ 支給内容 ]
16万円/月

[ 申請時のコツ・対策 ]
面接官はトビタテに出資している企業の社員の方なので、美術関係の人でない場合がほとんどです。どんな人にも分かるように自分の計画を伝えることが重要です。個性をアピールしつつ、実体験やきっかけなども紹介して共感してもらう。一目で「こういうことをやっている」「こういう人です」と伝わる資料作りを心がけました。またトビタテ生のコミュニティや広報活動に前向きに参加してくれるかという点でも審査されているので積極的な姿勢をアピールすると良いと思います。

[ 加入した保険の種類 ]
日本の海外保険

[ 加入保険名 ]
イーコールズ

[ 留学前の予防接種/種類 ]
あり/コロナワクチン3回

留学中

[ 現地での出迎え ]
なし

[ 到着後のオリエンテーションの有無・内容 ]
あり・大学や施設の説明。また保険免除申請を忘れるとチューリヒ市から罰金があるのでその説明もありました。

[ 大学の雰囲気 ]
美術・デザインだけでなく音楽やダンス、演劇など幅広い分野が集まっており非常にオープンな雰囲気でした。アトリエスペースが十分もらえます。また留学生と正規生の待遇の差がありません。充実した施設を生かして毎日どこかしらでコンサートやパフォーマンス、展覧会が行われています。習う場というより実践する場だと感じました。学生たちも常に何かにチャレンジしておりモチベーションが高いです。どんな分野の人にでもおすすめできます。

[ 留学先の支援体制 ]
大学・街ともに留学生に溢れており馴染みやすいです。大学のスタッフはとても親切で、困ったら必ず助けてくれます。

[ 留学先の街について(治安・気候・利便性・交通機関など) ]
ウィーン・チューリヒ共に治安がとてもいい。利便性も高いです。トラムも遅れない。チューリヒは世界屈指の金融街として近代化が進んでおり洗練された雰囲気があります。ウィーンは素朴さや古い建物と便利さが共存しているところに魅力を感じました。スイスは夜遅くや日曜でもそこそこお店が開いているが、ウィーンではほとんどすべてのお店が閉まるのでそこが異なります。スイスは物価がとても高いので安いスーパーを探し回ったり、トラムに乗るタイミングを考えるなど工夫が必要だと思います。ただその物価の高さゆえに「ここで生き残ってやる」というハングリー精神を持ち続けることができます。

[ 留学中に得たこと ]
渡航する前はコンプレックスだったことが個性になったり、自分の本当の気持ちを言えるようになったこと。周りの人が自分の夢を応援してくれて、宝物の友達がたくさんいると気付けたこと。アーティストとしても、人間としても大きく成長することができました。コロナ禍では慢性的に暗い気持ちで不安定な状態でしたが、それを乗り越えて渡航し、自信がつきました。

[ 現地での語学研修歴 ]
あり

[ 機関の種類/研修機関名 ]
大学附属語学施設/ウィーン大学語学センター、チューリヒ芸術大学のドイツ語コース、家庭教師

[ 受講期間 ]
2023/2/1 〜 2023/5/31

[ 大学までの距離 ]
キャンパス内

[ 語学研修費用 ]
ドイツ語コースは0円、家庭教師は1時間20ユーロ

[ 特徴(他の受講生・授業内容など) ]
基本的な勉強法としてはドイツ語でドイツ語の授業を受けて、週一で日本人の家庭教師の先生に習って日本語で一度解釈する、というルーティンでした。ウィーンでA2を終わらせて(語学学校+家庭教師)、チューリヒの大学のドイツ語コースではB1レベルを受講。チューリヒ芸大の美術学部は英語中心なので、留学生でドイツ語を事前学習してくる人は少なく、中級クラスにアジアの学生は私だけでした。それが刺激になって自分としては良かったです。家庭教師の先生はウィーンにいた時にオンラインや掲示板で探して、自分のことを理解してくれる先生を見つけたので、チューリヒに行ってからもその先生にオンラインで習っていました。

[ 同じ留学先の希望者へのおススメ/ 理由 ]
できる / チューリヒのドイツ語クラスは週一しかレッスンがないため身につくかは微妙ですが、現地でドイツ語の先生を作れる(ドイツ語について質問できる場)、友達作りの場として良かったです。

留学先の授業

[ 履修方法 ]
メールに希望の授業を書いて、スタッフの方に送ると後日授業に割り振られます。

[ 受講して満足した授業 ]
パフォーマンスの授業と、新聞を作る授業。個人ワークがあるため自分の個性を発揮しやすい。先生が親切に相談に乗ってくれます。

[ 具体的な授業内容 ]

履修科目名/担当教員 受講期間 単位数 授業時間数(週) 試験・成績評価方法
Pavillionesque Newspaper:The Making / Marie-France Rafael 2023年4月~2023年5月20日 21単位 週5回 実技 3週間にわたってクラスで記事を持ち寄り新聞を制作する。編集者・デザイナーと協働。最終的にチューリヒのギャラリーで配布する。
Art & Pluriverse / Dominique Lämmli 2023年3月1日~ 3単位 週1回 レポート 脱植民地化や女性差別についてディスカッションする。最終日にレポートを提出。
Art & Performance / Wu Tsang 2023年2月~ 3単位 週1回 実技 1人で短いパフォーマンスを作り、それをペアで協力して映像化する。
Art & Queer Bodies / Judith Welter 2023年5月1日~ 3単位 週1回 レポート ジェンダーについての映像作品や文献を読み、ディスカッションする。

住居

[ 住居の種類 ]
大学寮

[ 部屋の種類 ]
一人部屋

[ 住居名 ]
WOKO

[ ルームメイト ]
なし

[ キッチン ・バスルーム]
共同・共同

[ 食事 ]
自炊

[ 住居を探した方法 ]
大学を通じて

[ 留学希望者に推薦できますか ]
できる

[ 留学希望者に推薦できる理由 ]
月545フランとチューリヒの物件としては格安。駅とスーパーが近く、大学にも徒歩で行けるので立地は最高でした。脱衣所がビシャビシャである、キッチンと居間が常にとても散らかっている、28歳までの年齢制限があり20歳前後の若い学生が集まるためパーティーがうるさいなどつらいこともありましたが安いので我慢しました。賑やか好きな人は気にならないと思います。逆に、静かな学生達で朝お茶を飲んだり結束が生まれたりしたのでそういった意味では面白かったです。居間があるので友達は作りやすいと思います。異文化経験だと思えばなんでも笑えるので住んでみるのはオススメです。

[ 大学の休暇時期 ]
8月、9月

[ 休暇時期の一時退去 ]
あり

[ 住居に関するアドバイス ]
チューリヒでは物件の奪い合いが激しく200件以上に連絡したが交換留学生だったこともありほぼ返信が来ませんでした。結局大学の斡旋で寮に入ることができたので、早めに大学に問い合わせしておくと良いと思います。

医療

[ 留学中の通院経験 ]
なし

[ 困ったこと・健康面に関するアドバイス ]
ヨーロッパは寒くなるのが日本より早く、早々に風邪を引いたので薬をもっとたくさん持ってきたらよかった…と思いました。また歯医者の補償がついている保険に入れなかったため、硬すぎるものを食べないなど要心していました。

生活面

[ 留学先での銀行口座開設の有無/開設した銀行 ]
あり / WiseとN26

[ 開設銀行を選んだ理由 ]
現地の口座(特にスイス)があった方が便利そうな時もありましたが、特に困ったことはなかったのでオンラインバンキングでやり過ごしました。

[ 主に使用した支払い方法 ]
デビットカード

[ 生活に関するアドバイス ]
ウィーンは大体の割引の条件(コンサートのチケットや美術館の年パス、定期など)が26歳以下なので27歳以上の人は割りを食う場面があるかもしれません。Facebookで現地日本人掲示板に入っておくとヒントを得られたり困ったことを質問できたりと便利です。また私は聴覚過敏がありヨーロッパのいつもグループでおしゃべりする文化が苦手でした。でも、よく見ていると同じ考えの人がいたりするので、みんなに合わせないと、と無理をする必要は全くないです。ありのままの自分で自信を持って存在し続けましょう!文化の違いが作品のヒントになったりもしました。あと、生活の中で気になることやモヤモヤしたことは納得するまで伝えたり質問しました。面倒かつ勇気のいることですが、こっちから言わなければ何も状況が変わらないので嫌われてもいい!くらいのつもりで主張していました。

留学経費

渡航費 200,000
入学金 0
授業料(ウィーンの語学学校) 130,000
教材費 10,000
住居費(ウィーン)/(チューリヒ) 50,000 / 78,000
食費 約30,000~40,000
保険料 100,000
ビザ申請料 約30,000
総額 340,000/月

留学を終えて

[ 卒業・修了後の進路予定 ]
就職

[ 卒業・修了見込年月 ]
2024年3月 修了

[ 就職活動場所/希望する就職先 ]
日本/民間企業

その他

[ 今後、藝大に望むこと ]
コロナ禍に関わらず交換留学のコンディションは移ろいやすいと感じたので、近年の留学状況について情報公開がもっとなされると学校選びがしやすいと感じました。

[ 留学中行って良かった美術館・コンサート等 ]
シュテファン大聖堂(ウィーン)のバッハのオラトリオコンサート、バーゼル美術館、プラダ財団ギャラリー(ミラノ)、ナショナルギャラリーの祭壇彫刻コレクション(ブダペスト)、マリア聖堂の祭壇彫刻(クラクフ)、ピナコテーク(ミュンヘン)

[ 留学準備・留学中に役立った書籍・ウェブサイトなど ]
いろんな可能性(渡航条件、ビザの申請方法)を探るためできるだけ多くのウェブサイトやブログを読んで情報収集に努めました。また留学系YouTuberの動画は全部見たくらいたくさんチェックしていました。

[ 留学に役に立った藝大の授業・理由 ]
田村かのこ先生の特別集中講義:「自分らしいコミュニケーションの方法を見つけよう」、キャサリン先生・コナウェイ先生の「アートコミュニケーション」野口昌夫先生の「西洋建築史」・田村先生の授業では、英語を使う上での心構えやルール(出自やジェンダーに関する言葉遣いなど)、英語の多様性を教えていただき、コミュニケーションの基礎を学ぶことができました。アートコミュニケーションではプレゼンやポートフォリオを先生が親切に指導してくださりじっくり留学準備を積むことができました。西洋建築史はイタリアを中心にヨーロッパで見るべき建築を教えてもらえるのでヨーロッパに留学する人にはおすすめです。また野口先生がイタリア留学中に撮影した写真を見せてもらえるのでそれを毎回とても楽しみにしていました。